35.  池西剛展・酒器と酒の会 

池西剛展が始まりました。

いつもはとても静か(・・・・)な店内なのですが、今回は初日開店前からお客様が絶えず、午後になると県外ナンバーの車が店の前に並び、店内が文字通り人で溢れかえり通りを行く人々が何事かと覗き込んでゆくという、普段はありえない異様にシュールな光景が繰り広げられました。

お客様のほとんどが、関西や九州方面からわざわざ足を運んでくださった方で占められていたのも驚きでした。

初日の夜は、当廊恒例の「酒器と酒の会」で、今回の酒器は池西さん所蔵の平安から桃山時代の猿投、常滑、丹波、信楽、唐津、瀬戸、美濃や李朝、中国のもので、有名な本に所載されているものや美術館に入るような名品が実に無造作に並べられ、氏のおすすめの銘酒、秋田の「雪の茅舎」で、やきもの談義は日付を越えて2:45amまで続いたのでした。

 

展示を終えて

初日前日、作品が並んだ会場内です。今回は新展開の黄瀬戸「ぐいのみ手」、「黄野」が出品され、最新の窯の「志野寄りの黄野」や「ぐいのみ手」の驚くべきヴァリエーションが特に目をひきますが、従来の油揚げ手の品質も例によって着実に上げてきていて、実に見ごたえのある内容なのです。

 

正面の経筒が目をひきます。近くで見ると平安の響銅を思わせる凄味のある材質感です。

 

こちらには酒器と食器が集中展示されています。

 

「酒器と酒の会」始まりました。

画面奥の「立像」はたいへん珍しい「笑う池西剛氏」、画面中央で常滑鳶口から青唐津ぐい呑にまさに酒を注ごうとしているのは、当廊で来月個展予定の長戸裕夢氏です。

長戸さんは、染付磁器の産地に在って土物を薪窯で焼いています。期待の新人ですよ。