丸田 宗彦 Maruta munehiko
略歴
1961年
丸田正美の二男として生まれる
1980年
浜田庄司氏の三男篤哉氏に師事(四年間修業)
1984年
黒牟田に帰り作陶始める
1987年
内田皿屋窯を開窯
2000年
皿屋川登窯開窯
2002年
NHK、BS「器・夢工房」に出演
2003年
NHK、BS特集「器・夢工房」に出演

李朝のやきもののように典型的な姿があるわけではなく、美濃もののように割り切れる造形でもなく、それぞれの窯による特徴が異なり、それでいて一見してそれとわかる。

 

備前、信楽などの焼き締め陶以上に素材の特性に影響される、唐津のやきものの特質です。
素材が、これほどまで全体を通して前に出て来るやきものを他には知りません。(土器などは意外と出ないものです)
「素材の選択肢が任意でかつ広い」というのはむしろ現代の傾向なのですが、それだけに選択した素材をどう活かすか、ということが実作者に問われます。ひと昔以前は、「土や釉材を自前で探索する」というごく基本的なことでもいちいち評価されるような発展途上期でしたが、現在では如何なものでしょう。土を探して野山を駆け巡ろうが、見る方の知ったことではありません。良いやきものが欲しいだけです。

 

丸田宗彦さんの唐津は、やはり一見してそれとわかり、かつ「唐津」を継承することに成功しているということにおいて、現代の唐津には比類の無きものと言えます。
おそらく、素材の選択とその処理(焼成を含む)能力とが、現代唐津の作者の中で特に秀でていることが、「古唐津」と「丸田唐津」とを併用できる要因なのでしょう。このことは手元に置いて使ってみると、すぐに確認できます。

 

付け加えておくと、丸田さんは、問わず語りに素材収集をネタにすることもありません。
結局、やきものが「人」の手によるものである以上、唐津は作者の「人品」というものも露見させやすいやきものであるようです。

2018年6月  ギャラリーラボ 企画