松永 圭太 Matsunaga Keita
略歴
1986年
岐阜県多治見市生まれ
2010年
名城大学建築学科 卒業
2013年
多治見市陶磁器意匠研究所 修了
2016年
金沢卯辰山工芸工房 修了
現在
岐阜県多治見市で制作

人工が溢れ返る今日、人間はその原罪を犯した太古から、
天工である自然に親しみ、驚き、崇め、恩恵を受け、また、恐れ脅かされながら
現在に至るまで存在してきたことを忘れてしまうことがあります。

 

人間の使う道具には、自然の様子や人々が利便性を求めて創造したものが数多く存在します。
松永圭太さんの「土の掌」という作品も、水をすくう手のひらを模して造られたという「器」の誕生にまつわる話から、粗土(原土)を使い、やきものという姿でモノの起源に迫ろうとしています。

 

松永さんは、かつて粗土を用いてろくろや手びねりといった方法を試しましたが、
穴があいたり、思うような土肌が出なかったりしたため、
現在の石膏型に粗土の塊を押しつけていく作製方法になったそうです。
その際、石膏型を作る時には土の存在を考えずに制作し、土に触れる際にようやく素材について考えているそうです。
ふたつの異なった視点で作品を見つめる姿はまるで設計者と大工のようで、松永さんならではの発想です。
一方で、
釉薬を用いる際、炎の中に抱かれてもなお、指跡が残るような釉薬選びをしております。
また、土と相性の悪い釉薬を用いた場合、剥離する現象が起きるそうです。
松永さんは剥離が起きない極限を見極め、炎の中で調和した姿が水脈のように刻まれていて、
釉薬の表面にも様々な景色が浮かぶように思考されています。

 

極力手を加えない原土に近い粗土、松永圭太さんの作る石膏型、極限を見極めた釉薬、
どれも様々な要素や発想が炎と共に相混じり引き起こされる作品の数々です。
それではどうぞご覧下さい。

2018年1月26日